2019.07.20

「◯/の市」の存在意義を、今一度考えました。(全3回連載)

大阪、神戸から1時間半、京都から2時間弱の兵庫の田舎で、マルシェイベントを立ち上げて、次回7/27(土)で三回目。

目的客/来場者数=?


6/29土曜日、天候に味方されながら2回目のイベントを終えました。2回目といっても、初回は「播博」※1 と同日開催のおかげで集客面は心配に及ばず、今回は初めてのマルブンノイチによる単独開催だったので、最初の山場、ほんまにちゃんと集客できるのか?そんな高い服売れんのんか?そんな不安の中、台風が来るとか来ないとかの追い討ち。
が、何人かの晴れ女のお陰とビギナーズラックで、10時〜16時の開催時間は雨が上がって晴れ間すら見えてきて、集客面も自分たちなりに及第点で、盛況のうちに終えることができました。関係各位、出店者、お越しいただいたみなさまへ感謝申し上げます。

旧商店街一帯※2 に回遊していた人の数は、播博開催時には遠く及ばず、来場者は約700人程度だったかとカウントしています。ところが、1回目よりも商品を手に取る人、購入する人が多く、2万円台のスカートも売れるなど、リーチ数は減ったけど、エンゲージメント率が高かった、ということが分かりました。「目的客」が多かったお陰です。


和室にブランド主催の若手の2人。出店者間の横のつながりも◯


「2万円台のスカート」と言及すると、語弊を恐れずに言えば「田舎でいかに都会っぽいことを、都会度を低下させずに再現できるか」みたいに聞こえるかもしれません。
たしかに、「2万円台のスカート」が欲しい人の%は、地元の方々、近隣からの来場者の中よりも、遠方、都市部からの来場者の方の中に多いと思います。

出店者、出店内容を「垢抜けた」、ファッション的な追求をすると、置いてけぼりになってしまう顧客層が一定数出てしまいます。一方、地元の方々に最適化すれば、よその人たちがわざわざ西脇のマルシェに来る意味が激減してしまうかもしれません。

仮に、「地元の人」と「よその人」という呼び方をすれば、マルブンノイチが目指す理想の来場者の%は、4:6〜3:7です。

もともと、僕たちはイベント開催、運営のノウハウは全く持っていません。今も探り探り運営をしています。(ゆえに至らぬ点があって、各所へご迷惑をおかけすることもありました)



西脇市随一の観光?スポット


ところで西脇は観光地か、と聞かれたら多分NOです。各所にすばらしいスポットが点在していますが、それらの知名度や、来訪者にとっての利便性、スポットごとの回遊性、連続性などを総合的に考慮すれば、NOだと思います。




ある地方、まち、エリアが、観光地として、お出かけスポットとして成立するまで、またはそれを目指す上での一定期間、マルシェイベントはその通過点として「即席のお出かけスポット」になってくれる、これは「田舎マルシェ」の一つの意義かもしれません。
普段、ここらで買えないもの、体験が、よそから来てくれる出店者によって一時的に実現するためです。



冒頭にあるとおり、「◯/の市」の存在意義を考えたのは、年6.7回開催予定のこのイベントを、我々はいつまでやっていくのだろうかと、ふと最近思ったのがきっかけです。
厳密には、いつまでイベント規模拡大にエネルギーを傾けて、いつまでその規模でやっていくのか、ということです。

まず、前提として「◯/の市」は、現在空き家になっている物件へ、新たに商店、事務所、住居として活用をする人が入ることを一つの目的としており、そのターゲットとなり得る人が、来場者として、出店者、出店検討者として西脇へ来ることが、その目的に至るまでのステップ、トライアル機会となることを狙っています。
「あ、西脇って遠いし知らんかったけど、こんなええ物件とか、渋い建物あるんやなあ。」という具合にです。
「え、しかも家賃えらい安いやん。改装したら原状回復義務もなしなんや。え、さらに県から工事費などに対する助成金もあるん?※3」
と、リスク<メリットと感じる方と、西脇のマッチング機会を創出したい考えです。



マルブンノイチ事務局1Fのbefor/after


つまり、もし幸いなことに例えば3年後に現在の空き家の7割が稼働した、となれば、その目的は達成されて、市外、県外から出店者を招いて年に数回マルシェを開催するという、現在のイベント形態ではなくなります。
既設店舗のみなさんプラスαの外部出店者でマルシェを行っていくのか、場所を少し変えて続けていくのか、そのときに最適な仕様に変化するのだと思います。
もしかしたら、もっと頻度を減らす、または開催しない、という選択肢も浮上するかもしれません。
イベントという「非日常」が、今は現役店舗の数えるほどしか残っていない商店街にとっての「日常」になることを目指しているためです。積極的な解散と言えます。



ここまでの話は、主に開催場所側に視点を置いたときの話です。需要側からの観点です。

では、供給側はどうでしょうか。
次回は、出店者にとっての意義について述べたいと思います。



※1:2018年より、有志メンバーによって立ち上げ、実行の生地マルシェイベント。
※2:かつて昭和の時代に全盛期を迎えたテキスタイル産業により、

ライター情報

丸山大貴

Writing / Daiki Maruyama

マルブンノイチの一連のプロジェクトオーガナイザーで、普段はデザインデイレクター。当メディアを機に記事執筆にも挑戦中。一応文学部出身