2020.06.03

こだわりはスーパーにはないものを置くこと。遠くからもお客さんが来てくれるんですよ。

明治時代から100年以上続くお店!?季節にあった色とりどりのお干菓子が可愛い。 長く続く秘訣とお店のこだわりを教えていただきました。

コープの向かい側、大きい交差点の角にあるのが来住佳月堂。
かつて西脇にアーケード付きの商店街があった時代、そのもっと前の時代から同じ場所で西脇を見続けてきた。

明治時代創業!?

お店はもう3代目。
飾ってあるたくさんの表彰状の中で最も古いものは大正3年のものだった。

「記録が残ってないからはっきりとはわからへんけど、創業は明治40年頃とちゃうかなあ。」

ーーーー「え!?明治時代ですか!?」

思いがけなく出てきた明治時代という単語にとても驚いた。お店は約120年続いてきたということになる。西脇で一番古くから続いてるお店なのでは、、。


(写真は西脇の地名にちなんだコーヒー豆)

今は銘茶やコーヒー豆、お菓子などを取り扱っているが昔はお菓子も作っていた。
砂糖、豆、雑穀の卸、タバコの専売もやっていたそう。

「第二次世界大戦の後は、トラックの後ろ乗せてもらってね、中町のほうやら、八千代の方やらお砂糖の配給で回ったりしてたねえ。大正の頃は表彰にもある通り、お菓子をここで製造してたんよ。」

第二次世界大戦!?配給!?と、教科書でしか見聞きしないような単語が出てきてここでもまたびっくり。
自分には想像もつかない時代の西脇をたくさん話してくださるので昔の西脇の姿をもっと見てみたくなった。

たばこちょろっとかいに来はる人もあるかもしれんし

営業時間は8時から20時。まえは7時30分から営業していたそう。(めっちゃはやい。)

「なんであんなはよおから店開けよったかわからへんねんけど、まあでも最近は大体8時やなあ。閉店時間も19時にしたいけど、まあコープさん20時まで開いとるしね。(コープの)帰りの人が寄ってかもしれんし、タバコちょろっとかいに来はる人もおるからねえ。でも最近はみんな(店を閉めるのも、出歩かなくなるのも)早いですよ」

19時までにしたいと話しながらもお母さんの顔はとりわけしんどそうな様子もなく、お客さんの為ならね、という感じであった。

ーーーー「お客さんは常連さんが多いですか?」

「そやねえ。長い長いひともあるし、言うてたようにいつもタバコ買いにきはる人もおるしなあ。でも最近(コロナの影響で)家にずっとおっての人も多いからか、あんまり見えへんような人が来はったりね。神戸に行かなないようなお菓子が売っとるて来はったり、コーヒー豆買いに来はったりね。普段は贈答品が多いから誰かに渡すのに買いに来はったりねえ。うちの包装紙がええゆうて来はる人もおるし。」

取材中に買い物来られた常連のお客さんとも「それこないだどやった?美味しかったでしょう」と他愛もない話をしたり、会話を楽しんでるように見えた。

人と人との距離が近い。これは西脇のどのお店でも感じることである。
大抵、「あんたどこの人?」とか。から始まる、笑

他愛もない会話が続いて気づけば時間が過ぎていた。ということがよくある。
(西脇の人はおばちゃんだけでなくおじちゃんもおしゃべり)

長く続く秘訣

ーーーー「これだけ長く続く秘訣とも言えるお店のこだわりはなんですか??」

「お店のこだわりはねえ、うちのお店でしか買えないもの、スーパーにはおいてないものを置くことかなあ。」

スーパーで何でも売っている時代だからこそのこだわりだと思った。
確かにこの辺のスーパーなどでは見ないものがたくさんおいてある。
コーヒーの種類にしても、季節ごとのかわいいお干菓子もここでしかこんなに種類を見ない。

「お干菓子なんかは、小野や加古川から買いに来られる方も多かったりね。おひなさんの頃に幼稚園で使ったりしはるんやって。」

ーーーー「それもこれだけ種類が多いからですよね。こういう和菓子は季節を特に感じられてとても素敵やと思います。」

「そやねえ。これも一つのところからやなくて、色んな所から仕入れてるんよ。そんでも職人さんが減ってきてねえ。だんだん数も減ってます。」

だから、同じゼリーでも食感が違ったり、表現の仕方が違ったりするのだ。

お干菓子というと、手が出しにくくそんなに食べたこともなかったし、食べる機会もなかった。(洋菓子店には入りやすいけど和菓子屋さんにはなんとなく入りづらいようなそんな感じ。)

WSや取材を通して美味しさとかリーズナブルな“かわいい”とか。
思っているほど手を出しにくいものではないということとか。
同年代の20代の子達にも一度見て、食べて見てほしいと思う。

ところで不思議とケーキがこんなに鮮やかだとあまり食欲が湧かないものだが、お干菓子だと食べてみたい!!となるのは私だけなのだろうか?

モチーフとするものは当たり前に和風なものが多いが、それもなんだか“かわいい”と思えてくる。



私はいくつか買って好みの食感のものを探したりしながら、季節ごとに変わるお干菓子を楽しんでいる。(特にゼリーのものが好き)


お店にこだわりがあるからこそたくさんの人に愛され続け、地域に根づいたお店になるのだろうと思う。
また、西脇近郊の人だけではなくもっともっと、たくさんの人にも知って欲しいと思うお店である。

季節に応じたお干菓子ちょろっと買うのも良し。オリジナルブレンドのコーヒーを買うのも良し。昔の西脇のこともたくさん話してくださると思いますよ。

次回も来住佳月堂さんでのお話、お楽しみに。

店舗情報

〒677-0015
兵庫県西脇市西脇277
TEL:0795-22-2070
定休日 日曜
営業時間8:00~20:00

ライター情報

仲埜 佑菜

Writing / Yuna Nakano

西脇市出身、西脇市在住の20代
4月からマルブンノイチのPR担当として日々奮闘中。
西脇で好きな食べ物は「よりふじの回転焼き」